越前打刃物の伝統と歴史 越前鎌、包丁行商物語 NO,15
2015/07/01
越前打刃物の伝統と歴史 越前鎌、包丁行商物語 NO,15
『越前打刃物の歴史を調べていると、
知人から一冊の書物を紹介して頂きました。
昭和四十六年に発行されたこの書物は、
著者斉藤嘉造先生が書かれた貴重な物でした。
未来へと語り継ぎ、残していかなければいけないと思い、
この場をお借りし一部抜粋して、ご紹介していきたいと思います。
永い年月をかけ越前打刃物である鎌、包丁、鉈、鋏などが、
全国に広まった事実の物語です。』
行商の里 その3
江戸末期から昭和初期まで漆液の大量取引をしていた朽飯の、
上坂忠七郎家に伝わる記録によれば、
明治三十一年の全国漆かきは三四四五人であり、
福井県には二百二十人がいた事になっている。
それらの人々の里は、河和田、服間南中山、北中山、岡本、
味真野、上池田、下池田、糸生、殿下、萩野、天津、織田、
常盤、上味見、下宇坂などあった。
文久年間に服間村で三五八戸もあった漆かきは、
昭和三十年代にはおそらく数十戸に減ってしまったと思われる。
しかし鎌行商人がどれ程増加したのか、
確かな数字をつかむ事はできない。