越前打刃物の伝統と歴史 越前鎌、包丁行商物語 NO,28
2015/08/24
越前打刃物の伝統と歴史 越前鎌、包丁行商物語 NO,28
『越前打刃物の歴史を調べていると、
知人から一冊の書物を紹介して頂きました。
昭和四十六年に発行されたこの書物は、
著者斉藤嘉造先生が書かれた貴重な物でした。
未来へと語り継ぎ、残していかなければいけないと思い、
この場をお借りし一部抜粋して、ご紹介していきたいと思います。
永い年月をかけ越前打刃物である鎌、包丁、鉈、鋏などが、
全国に広まった事実の物語です。』
結び その3
最近の急速な産業構造の激変によって、越前鎌行商人は
多くの人に知られないうちに消え去ろうとしている。
過去数百年も続いたこの鎌行商人によって、
良質の製品を責任を持って売り歩いたがために、
越前鎌の販路が広まり、越前鎌の製造技術も
全国的に最高の地位を占めている。
実に鎌行商人は、越前刃物産業の陰の功労者といえよう。
数百年の間、全国各地で活躍した越前鎌屋の勤勉さ、
忍耐力に今さらながら頭が下がる思いがする。
農民が農器具を、農民に販売すると言うケースは
他に余り例がないであろう。