越前打刃物の伝統と歴史 越前鎌、包丁行商物語 NO,26
2015/08/18
越前打刃物の伝統と歴史 越前鎌、包丁行商物語 NO,26
『越前打刃物の歴史を調べていると、
知人から一冊の書物を紹介して頂きました。
昭和四十六年に発行されたこの書物は、
著者斉藤嘉造先生が書かれた貴重な物でした。
未来へと語り継ぎ、残していかなければいけないと思い、
この場をお借りし一部抜粋して、ご紹介していきたいと思います。
永い年月をかけ越前打刃物である鎌、包丁、鉈、鋏などが、
全国に広まった事実の物語です。』
結び その1
「行商は行です」 長い人で五十年間も続けて来たこの行商。
北陸人特有の粘りで耐えてきた行商。
今の若い人には想像もできないような 「行」 であった。
三か月も四か月も故郷を離れて、淋しい山村の農家を回り、
旅の不自由をしのんで行商の道に励んだ多くの人達。
これらの人達の苦しみや喜びを記録したものは、
ほとんどない。
すべてはまさに消えようとしている。
最近急激に都市化された農村を得意先としてきた
鎌行商人の使命は終了した。
目下その地の一小売店経営者に変わりつつある。