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刃物屋小話

越前打刃物の伝統と歴史 越前鎌、包丁行商物語 NO,1

2015/05/08

越前打刃物の伝統と歴史 越前鎌、包丁行商物語 NO,1

『越前打刃物の歴史を調べていると、

知人から一冊の書物を紹介して頂きました。

 

昭和四十六年に発行されたこの書物は、

著者斉藤嘉造先生が書かれた貴重な物でした。

 

未来へと語り継ぎ、残していかなければいけないと思い、

この場をお借りし一部抜粋して、ご紹介していきたいと思います。

 

永い年月をかけ越前打刃物である鎌、包丁、鉈、鋏などが、

全国に広まった事実の物語です。』

 

鎌屋さん その1

 

越前武生 (現 越前市) の町で作られた鎌が、

広く全国に大量に出回るようになったのは、

江戸時代の中頃と考えられる。

 

武生の鎌問屋が各地の金物小売り商人へ

鎌を卸し、農民が町へ出てその鎌を購入したことは

当然考えられるが、

それ以外に鎌行商人が、

武生の鎌生産者から直接仕入れをして

全国各地の農家を一軒一軒巡回し、

行商する方法があった。

 

その仕事は草深い山村の人達の

農閑期の出稼ぎ仕事としては、

利益が多く格好の副業であった。

 

鎌を主として、その他庖丁、なた、はさみ等を

入れた柳行李を紺の大きな風呂敷でつつんで

背中にかつぎ、冬と夏の二度、

定期的に各地の農家を訪ねた。

 

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