越前打刃物の伝統と歴史 越前鎌、包丁行商物語 NO,9
2015/06/07
越前打刃物の伝統と歴史 越前鎌、包丁行商物語 NO,9
『越前打刃物の歴史を調べていると、
知人から一冊の書物を紹介して頂きました。
昭和四十六年に発行されたこの書物は、
著者斉藤嘉造先生が書かれた貴重な物でした。
未来へと語り継ぎ、残していかなければいけないと思い、
この場をお借りし一部抜粋して、ご紹介していきたいと思います。
永い年月をかけ越前打刃物である鎌、包丁、鉈、鋏などが、
全国に広まった事実の物語です。』
移り変わり 漆かきと鎌行商 その2
漆かきが出稼ぎに出発する時には、必ずといってよい程、
越前鎌を持って行った。
かき子が雨天で仕事が休みの時、持って来た越前鎌を
近くの山村の人達に売り広めたのであろうし、また
漆かきの親方が漆樹を見回り、予約する時などにも
相当多量に鎌を販売したともいわれている。
全国各地に出稼ぎした漆かきが、品質の良い越前鎌を
持参し、自信を持って売り広めた。
その中には、鎌の行商人に商売替えをした者があった。
特に明治に入って中国産の漆液が大量に安価に輸入され、
日本産の漆が売れなくなると鎌の行商に転職するも者が
増大した。