越前打刃物の伝統と歴史 越前鎌、包丁行商物語 NO,3
2015/05/20
越前打刃物の伝統と歴史 越前鎌、包丁行商物語 NO,3
『越前打刃物の歴史を調べていると、
知人から一冊の書物を紹介して頂きました。
昭和四十六年に発行されたこの書物は、
著者斉藤嘉造先生が書かれた貴重な物でした。
未来へと語り継ぎ、残していかなければいけないと思い、
この場をお借りし一部抜粋して、ご紹介していきたいと思います。
永い年月をかけ越前打刃物である鎌、包丁、鉈、鋏などが、
全国に広まった事実の物語です。』
鎌屋さん その3
江戸時代から明治、大正を経て、鎌行商人の形態は
大きく変化した。
特に最近は、鎌など余り必要としない都市化した
旧農村地域では、鎌屋としての行商は成り立たず
専ら金物屋、家庭器具商として行商に変身したり、
行商地に住みついて金物小売店として、
手広く営業している例もある。
しかし依然として鎌、庖丁の売上額が全体の八割、
九割を占める鎌屋も数多くあって、
今日も各地の農家を訪ねてその需要に
こたえているのである。
「鎌屋さん」と呼ばれ、親しまれてきたこの言葉の中には、
鎌を媒介として産地の農民と鎌を買い求めて使用する
農民との数百年にわたる心の触れ合いが感じられる。