越前打刃物の伝統と歴史 越前鎌、包丁行商物語 NO,23
2015/07/25
越前打刃物の伝統と歴史 越前鎌、包丁行商物語 NO,23
『越前打刃物の歴史を調べていると、
知人から一冊の書物を紹介して頂きました。
昭和四十六年に発行されたこの書物は、
著者斉藤嘉造先生が書かれた貴重な物でした。
未来へと語り継ぎ、残していかなければいけないと思い、
この場をお借りし一部抜粋して、ご紹介していきたいと思います。
永い年月をかけ越前打刃物である鎌、包丁、鉈、鋏などが、
全国に広まった事実の物語です。』
商いの道 その7
農民と農民の素朴な商いが始まるのである。
行商人も自宅にあっては農民であるから生粋の商人のように
利に目敏い、利に険しい売込みはしなかったにちがいない。
いや、すばしこい売込みをしない方が、買う方も安心し
信用したと思われる。
故郷には妻や子が、田や畑が待っている農民である。
一山村に生まれたが故に、何かの副業に従事しなければならない
宿命を受けて、行商に出ているのである。
鎌行商人の道は一般商人の商いの道とは
違ったものがあったようだ。