越前打刃物の伝統と歴史 越前鎌、包丁行商物語 NO,8
2015/06/04
越前打刃物の伝統と歴史 越前鎌、包丁行商物語 NO,8
『越前打刃物の歴史を調べていると、
知人から一冊の書物を紹介して頂きました。
昭和四十六年に発行されたこの書物は、
著者斉藤嘉造先生が書かれた貴重な物でした。
未来へと語り継ぎ、残していかなければいけないと思い、
この場をお借りし一部抜粋して、ご紹介していきたいと思います。
永い年月をかけ越前打刃物である鎌、包丁、鉈、鋏などが、
全国に広まった事実の物語です。』
移り変わり 漆かきと鎌行商 その1
鎌行商人は、もと漆かき職人が多かったとも云える。
漆かきとは、漆の樹皮を傷つけて流れ出る液汁を
採集する人の事で、江戸時代から今に至るまで
農家の副業として、盛んに行われた。
各大名は茶、楮(こうぞ)、桑とともに四木と称して
漆樹の栽培を奨励した。
漆の漆器、火薬武具の製造や船の塗料などに
欠く事が出来ない品だからであった。
河和田(鯖江市内)、池田(池田町)、服間(今立町内)
岡本(今立町内)などの山村の農民が、
江戸時代から全国各地に漆かきとして出稼ぎをしていた事は、
有名である。