越前打刃物の伝統と歴史 越前鎌、包丁行商物語 NO,6
2015/05/29
越前打刃物の伝統と歴史 越前鎌、包丁行商物語 NO,6
『越前打刃物の歴史を調べていると、
知人から一冊の書物を紹介して頂きました。
昭和四十六年に発行されたこの書物は、
著者斉藤嘉造先生が書かれた貴重な物でした。
未来へと語り継ぎ、残していかなければいけないと思い、
この場をお借りし一部抜粋して、ご紹介していきたいと思います。
永い年月をかけ越前打刃物である鎌、包丁、鉈、鋏などが、
全国に広まった事実の物語です。』
移り変わり 江戸時代から その3
次に江戸時代の越前鎌の卸商人と行商人との関係の
大要を述べてみよう。
江戸時代に越前鎌の販売の大部分は、
府中武生に住んでいた商人たちによって行われた。
彼等は鎌鍛冶から製品を買受け、全国各地の小売店に
売子を派遣して売込みをし売買契約をして、
商品を発送したのである。
彼等は産地の鎌卸商人であった。
商人の数が増加してその勢が強くなるにつれて、
鎌問屋株仲間結成の動きが出てきた。
鎌の販売の独占をねらったのである。