越前打刃物の伝統と歴史 越前鎌、包丁行商物語 NO,13
2015/06/19
越前打刃物の伝統と歴史 越前鎌、包丁行商物語 NO,13
『越前打刃物の歴史を調べていると、
知人から一冊の書物を紹介して頂きました。
昭和四十六年に発行されたこの書物は、
著者斉藤嘉造先生が書かれた貴重な物でした。
未来へと語り継ぎ、残していかなければいけないと思い、
この場をお借りし一部抜粋して、ご紹介していきたいと思います。
永い年月をかけ越前打刃物である鎌、包丁、鉈、鋏などが、
全国に広まった事実の物語です。』
行商の里 その1
鎌行商の里は耕地の少ない山村である。
今立町の月尾谷のほかにも、河和田谷、服部谷、水間谷、
それに鞍谷など旧今立郡の山村が、鎌行商人の主な里であった。
これらのうち、服部谷と水間谷とが旧今立郡服間村であり、
服間村は江戸時代から鎌行商人が多く出かけた村であった。
全七百戸のうち専業農家は二百七十一戸にすぎず、
残りの四百二十九戸は商、工業などに従事するか
農業と行商との兼業によって生活をしていたのである。
農業だけでは生活できなかった。