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刃物屋小話

越前打刃物の伝統と歴史 越前鎌、包丁行商物語 NO,2

2015/05/14

越前打刃物の伝統と歴史 越前鎌、包丁行商物語 NO,2

『越前打刃物の歴史を調べていると、

知人から一冊の書物を紹介して頂きました。

 

昭和四十六年に発行されたこの書物は、

著者斉藤嘉造先生が書かれた貴重な物でした。

 

未来へと語り継ぎ、残していかなければいけないと思い、

この場をお借りし一部抜粋して、ご紹介していきたいと思います。

 

永い年月をかけ越前打刃物である鎌、包丁、鉈、鋏などが、

全国に広まった事実の物語です。』

 

鎌屋さん その2

 

農家では「鎌屋さん」「越前屋さん」の呼び名で

迎え入れて、茶を出し旅の話などを聞きながら

一年間に使う農器具を購入したり、注文したりした。

 

鎌屋の中には五十年以上も同じ地域を

毎年訪問するので、親子三代にわたって顔見知りになり、

すっかり馴染んでしまう例も多かった。

 

特に宿泊する農家が決まっていて、そこには

十日も二十日も泊まり続ける事もあって、

その家族の一員に近い生活をし、

娘などが嫁入りして親戚関係に

なることさえあったという。

 

鎌屋になって行商した人達は主に

何処の人々であっただろうか。

 

それは武生の東部、三里山の東の服部谷、

水間谷、月尾谷、河和田谷、鞍谷などの

勤勉で忍耐強い農家の人であった。

 

その起源は、江戸時代の漆掻き職人(うるしかきしょくにん)が、

旅立つ時に持参した越前鎌を漆山近くの農家に、

売りに回った事によるものといわれている。

 

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