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刃物屋小話

越前打刃物の製造工程とその魅力(菜切り包丁編)

2014/04/09

越前打刃物の製造工程とその魅力(菜切り包丁編)

まず鋼を約800℃まで加熱し、所定の大きさになるまで叩き延ばします。

 

次に地鉄を割り、溝をつけて先程の800℃に熱した鋼をその溝に入れ、

地鉄と鋼を叩き鍛えます。

 

ある程度の包丁の大きさに形造り、一丁分に切り落とし、それを柄の中に

入る部分(中子)を叩いて作り出します。

 

ここから越前打刃物最大の特徴である2枚広げ。

 

先程の包丁の大きさに形づけた物を2枚重ね裏と表、表と裏という具合に

何回も素早くベルトハンマーで叩き、薄く延ばしていきます。

 

この2枚重ねる事で、ベルトハンマーの圧がよくきき、さらには温度が

下がりにくくなります。よって、板ムラも少なくり、高い品質の製品が

出来るミソになります。

 

その後800℃に加熱し、空気で自然に冷まします。

 

付着した物を取り除き、ベルトハンマーで滑らかに、表面をある程度整え

槌で軽く打ち、真っすぐに延ばし整形していきます。

 

決まったサイズに形を合わせ、余分な所を切断します。

 

次は焼き入れで、粘土質の泥を塗り、乾かしてから約800℃の炉に入れ、

時間をかけて芯まで焼く。

 

赤色になった一瞬を逃さず、瞬時に水に入れれば鋼が堅くなります。

 

次に150℃~220℃で30分熱し、室温でゆっくり冷ます事で鋼に

粘りをもたせます。

 

これが焼き戻しというもので、包丁の命でもある堅さと粘りのバランスを

決める最も大事な工程の一つです。

 

ここからは成形段階に入ります。

 

粗目の砥石でだんだんと薄く研いで形を整えながら、徐々に細目の砥石

に変えて、ツヤが出るまで磨き鋭利な刃物に仕上げていきます。

 

最後に、ぼかし小刃合わせをして包丁の原型は完成です。

 

柄は、中子(柄の中に入る部分)を火床で焼き、柄の角穴に差し込みます。

 

中子を焼くのは、差し込んだ中子が冷めると、木が収縮して締め付ける為、

包丁が柄から抜けにくくなるからです。

 

これら幾つもの工程を経て、一本一本丁寧に仕上げられていきます。

 

灼熱の中、鉄を叩き火造りを続ける独自の伝統技法が、現代に受け継がれ

魂のこもった、切れ味のよい刃物が今日もまた、世界各国へと

送り届けられております。